購入してから一箇月以上間隔を空けてしまったが、「小説 君の名は。」をようやく読んだ。同名のアニメーション映画「君の名。」に勝るとも劣らない、非常に良い作品であった。

本書を購入してから読むまでの間に、映画は何度か見た。だが本書と映画の「どちらが良い」ということを決めるのはわたしには難しい。

同じく「君の名は。」という題を冠す作品である「君の名は。 Another Side : Earthbound」とは違い、本書は映画を見る前に読んでも問題はない。前提とするものが違うのだから当然ではある。

本書は映画と同じストーリーラインで描かれているものである。映画と同じものであると言っても過言ではない。言ってしまえば描きかたが違う、ただそれだけである。

世に出たのは映画よりも本書のほうが先であり、またあとがきによれば完成も本書のほうが早い。だが映画の脚本や絵コンテが上がってから書かれている。そのため「どちらが原作か」という問はあまりにも無粋である。

ただ個人的な意見ではあるが、映画を先に見て欲しいとわたしは思う。本書と同じ存在である「君の名は。」アニメーション映画はどのような先入観も抱くことなく、まっさらな気持で見て欲しい。

「君の名は。」という作品は新海誠による作品である。

新海誠の真骨頂は美しい背景とそれを彩る光であるとわたしは考える。そうしたものは「小説」という文字による情報伝達を行う媒体ではどうしても描き切ることは難しい。なので、映画を先に見てから本書を読んでいただきたい。

映画を見て映像や音声とともに抱いた感動をそのままに本書を読んでいただきたい。映画を数度見るだけでは感じ取れなかった多くの要素も、本書を読むことで見出せるだろう。

他人の行動を縛るというのはあまりにもおこがましい行為である。だが新海誠による作品を心の底から楽しんでもらいたい、どうしてもそう考えてしまう。なのでより良いとわたしが感じる行動を強いてしまう。

映画も小説もどちらも良い作品である。そして、すばらしい。

とにかく楽しんでもらいたい、それ以外にわたしが思うことはない。